内藤 伊乃里『はざまの長屋 きょうだい児のためのサードプレイス』 (2021年度足立賞/Diploma Design Prize銀賞)
下町の廃工場をリノベーションし、「きょうだい児」すなわち、体や心にハンディキャップを抱える兄弟姉妹を持つ子どもたちが、互いの悩みを共有しつつ地域社会に参加する拠点となるサードプレイスを作りだす計画である。実体験に基づいた切実な計画でありながら、単に社会的認知や当事者の癒しを求めるだけでなく、集いの場所を作ることが空き家問題等に対する一助となって地域社会に貢献していこうとする姿勢が素晴らしい。事前アンケートに基づくプログラム検討、「おおたオープンファクトリー」との連携などの企画、プランニング、ディテールに至るデザインまで、全ての面において計画に真摯な厚みがあり、したがって説得力がある。
柴田 美波『さわるとわかる庭園美術館』 (2021年度Diploma Design Prize ノミネート)
視覚に障害を持つ人も楽しめる美術館をテーマに制作された作品である。この作品の特徴は、一般的には図面・模型いずれも視覚表現に頼っている建築デザインのプレゼンテーションを見直し、図面や模型自体を「さわるとわかる」ものにした試みにある。「図面」は全て、紙に印刷する替わりに合板に木材を接着するなどで立体表現され、そして説明は点字でも印刷され、さらに実際の空間に使われるテクスチャー(木材やレンガ、カーペットなど)が貼り込まれ、触れて楽しめる図版になっている。このように作られた、この作品の8枚の木製プレゼンテーションパネルは、それ自体がアートとしての鑑賞に耐えるものになっている。
江島 凌輔『野生を着る 』
小野田 太平『半屋外空間でつつむ 防風林の中の自然療養地』
佐久間 杏美『グラス・ホーム 保護犬が暮らす新しい居場所』
澤田 結衣『離婚しても住める家 多様な家族のかたちに対応する住まいに関する研究』
諏訪 朱音 『多世代の「わ」 子育て世代のためのワークプレイス』
関口 翔太 『ココロの容 』
寺島 優花 『自然の中のリトリート施設』
山﨑 真美 『1/√2 の茶室 かわいいインテリアの模索』