倉谷皓介『「家開き」の観点からみた省エネ住宅のデザインに関する研究(設計を主とする)』
2018年の西日本豪雨による災害で大きな被害を受けた岡山県倉敷市真備地区を対象として、省エネルギー、かつ地域に開かれた機能を持つ併用住宅群を提案した作品である。省エネルギー住宅は一般的に、開口部からの熱損失を防ぐために開口面積を抑え、結果として外観が閉鎖的になりがちだが、作者は内部と外部の空間的境界となる「中間領域」に着目し、事例研究を行なった上で、省エネルギー住宅におけるその活用方法を提案している。省エネルギー住宅の今後のあり方を示唆するとともに、地域復興の足がかりとなる、街に開かれた半公共的併用住宅群の提案となっている。
湯田直哉『反復架構建築物に関する設計と研究 - 東急東横線 東白楽駅をモデルとした提案- (設計を主とする)』
鉄骨造と木造によるプラットホーム上家のデザインを提案したものである。建築的な提案が行われるのは駅付属の建築物であることが大多数で、一般的にプラットホームの上家自体はデザイン上の主要なテーマとなりにくい「通過駅」に対して、新たな提案を行っている点に特徴がある。作者はプラットホーム形式と屋根形状の関係について、東急東横線の全駅を対象とした調査を行い、また、同一または類似形状の架構が反復する特徴を持つ「反復架構建築物」について文献調査を行なった上で、その知見をもとに東急東横線東白楽駅を対象として、具体的な提案に結びつけている。