岩手県の社会福祉法人が運営するワイナリーのプロジェクト。関東学院大学粕谷研究室では、2017年秋から2018年春までの期間で、本プロジェクトの基本構想・基本設計に大学院生が中心となって参加した。
敷地は新花巻駅の近く、幹線道路から奥まった小高い丘の上に位置し、周囲には「いぐね」と呼ばれる屋敷森に守られた散居集落に、なだらかな棚田が連なる美しい田園風景が広がっているが、農家の高齢化・後継者不足はこの場所も例外ではなく、耕作放棄される果樹園や棚田が、年々増えつつある。このような状況のなか、2016年11月に内閣府による構造改革特別区「花巻クラフトワイン・シードル特区」の認定を花巻市が受けたことから、市内の小規模な事業者でも酒類製造免許を取得できることになった。こうした制度を利用しながら、葡萄の栽培と果実酒の醸造を通じて障がい者の就労の場を作り、彼ら自身が地域の課題を解決する担い手、地域にとってかけがえのない存在として活躍できるような場所にすることが、このプロジェクトに課せられた使命である。
基本設計:カスヤアーキテクツオフィス(粕谷淳司・粕谷奈緒子・平木かおる)+関東学院大学 粕谷研究室(粕谷淳司・金林桂子・倉谷皓介・眞田重弥・長田宙大・早房巧・湯田直哉)
基本設計協力:有原設計室(有原寿典)